一番大事なのはそれだけれども

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diary

知りあいに医者をしている人がいる。

機会があってその人から、あるエピソードを聞くことができた。

その人は小さいながらも一応開業医。
一国一城の主だ。

いつものように勤務していた、ある日。
体の不調を訴える男の人が初診で現われたそうだ。

その人を診察して、医者は青くなった。

心臓に負担がかかっていて、いつ倒れても不思議ではない状態。

一刻も早く処置をしなければ、死んでしまう。

医者が真っ先に頭に思い浮べたことは、

頼むからここで死なないでくれ。

そして医者は診察した内容を本人に告げず、大病院への紹介状を書いて帰したそうだ。

それを聞いて僕はちょっと憤ってしまった。

そういうことを考えるのは、当たり前だけれども、まずはその男性の病理を解明できたことを喜び、的確に処置を行うべきではないのか?

そんなやばい状態だったなら、すぐにでも救急車を呼んで手術を行える病院へ搬送すべきではないのか?

僕が医者という仕事に幻想を抱きすぎなのかもしれない。

医者だって評判が悪くなれば飯の食い上げになってしまうし、そこで死なれて訴訟にでもなったら、経営が傾くだろう。

だけれど、そのために普段からの高給だろうし、人の命を預るものに真摯な対応をしてもらいたいと望むのはおかしいことだろうか。

自分の立場よりも患者の命を優先させて欲しい。
こういう思いは医者の立場に立ったことのない、青二才の妄言なのだろうか?